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東京都立大学 システムデザイン研究科

Tokyo Metropolitan University
System Control Engineering
Kojima Laboratory

ロバスト予測制御論の開発Design Method for Robust Predictive Control

情報更新型ロバスト予測制御法の開発

 予見制御とは,目標値信号の情報を一定時間未来まで利用することにより,良好な制御性能を達成する制御法であり,期待される効果はよく車の運転にたとえられます.夜間,自動車を運転するとき,ヘッドライトで道の形を把握しながらハンドルを操作することは,道に沿って滑らかに走行するために不可欠であり,またライトを消した暗闇では偏差が発生しないうちには,追従性能は改善できません.制御系設計においてこの例えは,フィードバック系だけで性能を追求するには限界があり,目標値の予測情報を積極的に利用した制御が必要なことを示唆しています.
 予見制御法は,このような予測情報の有用性に注目し,発展をとげてきた追従制御の方法であり,最適制御,サーボ系設計,ロバスト制御などの影響を受けながら,数多くの制御法が提案されてきました.しかし,それらは性能の限界を明示することには成功したものの,予測情報の不確かさを適切に処理し,制御系の性能を合理的に引き出す方法は確立されず,現在においても重要な課題が残されています.
 予測情報の不確かさに対処する制御問題は,自然界・人間との相互作用を含む多くの工学分野に見受けられ,1) 太陽光発電大量導入時の日射量予測と系統安定化制御(分散エネルギーの協調制御),2) 操作者のアシストと経路予測制御(人間・機械系の制御)においては,予測不確かさを前提とした新たな制御論の確立が必要になります.特に1) では,近未来程精度がよい日射量予測から的確な制御法を導き,2) では,操作者の姿勢から大局的な経路を把握し,逆に近未来の操作の不確かさに対応する制御法を導くことが求められます.
 我々の研究室では,これまでH∞予見制御法とよぶ包括的な制御法を開発し,予測情報を状態の一部に含めた関数空間上のシステム表現から制御則の構成法を明らかにしてきました.これらの結果は,類を見ない独自の接近法から導かれ,対応する Riccati作用素方程式を直接解いたことから,現代制御論の成果を予測制御に展開する基礎を整えたものです.
 本研究では,これまで得られた基本結果から,予測情報に含まれる不確かさを克服し,制御性能を合理的に引き出す予測制御法を確立することを目指します. そして,成果を1) 太陽光発電大量導入時の日射量予測と系統安定化制御,2) 操作者のアシストと経路予測制御など重要な制御問題に適用し,その有用性を評価します.















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